終わらない恋になれ

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「『俺が光を幸せにする。だから俺を好きになってよ』…だろ?」 「はぁー、もうまじやめろって」 薮をいじめてやろうとわざと言うと、薮は机に突っ伏してしまった。 髪と髪の間から見える耳は赤くなっている。 あの告白の後、薮に強引に手を引かれ近くの公園に連れていかれた。 おかげで伊野ちゃんとの約束は守れなかった。実は伊野ちゃんの他に大ちゃんもいたんだけど。 結局二人で遊んだらしい。 公園のブランコで薮に『俺のこと好き?』って聞かれて『分かんない』って答えたっけ。 確かその後… 「…『でも薮が隣にいないなんて考えられない。やっぱり好きなのかも』だよ。光はそう言った」 そうだ、薮の言った通り。 分かんないと答えた後に何か違和感があった俺はそう言ったんだ。 「なんかもう当たり前だな。薮と誕生日を過ごすの」 「嬉しいんだろ?」 「とか言う薮の方が嬉しいんでしょ」 「嬉しかったらいけないのかよー」 「いけないなんて言ってないだろ」 それからはしばらく沈黙だった。 俺は再びベースをいじくり、薮は相変わらず机に突っ伏したまんまだった。 俺が一通りJUMPバンドの曲を弾き終わったころ薮の情けない声が聞こえてきた。 「ひかるぅー…」 「なに?」 「光は今幸せ…?」 ベースを触る手が止まる。薮を見ると、薮もこっちを見ている。 「…まぁ…、幸せか幸せじゃないって言ったら…幸せなんじゃないの?」 「俺が幸せに出来てるってこと?」 「…そうなんじゃない?」 「……っよっしゃー!」 「騒ぐなよ最年長」 あの時、薮の気持ちに答えてから俺はずっと薮と一緒だった。 JUMPが結成されてからは二人きりでいることが少なくなったけど俺らの関係は変わらなかった。 多分、これからもずっとそうなんだろう。 だって、少年だった頃の俺たちの青い恋は、終わりを知らないのだから。 END お題提供サイト様 確かに恋だった
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