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「川崎誠か。まあ、気楽にしてくれ」
「はい」
俺は言われた通り、手近な椅子に座る。
「すまないね。まともな客が来たのは初めてで」
そう言いながら机に茶を置く。
「構いませんよ?」
思わず疑問文になってしまった。
何故か俺の前に置かれた2つの湯のみ。
「ん? どうかしたのかな?」
一瞬、神代のものかとも思ったが、彼女の分は手に持っている。
「二人分のお茶が出されたので」
神代は首を傾げる。
「何を言っているんだい? 君の分と、君の後ろに隠れている可愛い客人の分だよ」
「見えてるのか!?」
「もちろん」
あの神主は力に気圧されていたが、神代にその様子はない。しかも、ガキの姿まで見えているようだ。
これは期待できるんじゃないか。
「助かった。相談、というよりもお願いなんだが、こいつを追い払って欲しいんだ」
やっと運が回ってきた。神代なら何とかできるかもしれない。
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