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神代がなにやら嬉しそうに俺を見つめる。
「私に同僚ができるとはね。なんだかワクワクするよ」
「これからよろしくお願いします」
「さっきも言ったが気楽にしてくれ。長い付き合いになるんだからね」
貧乏神が離れるまでの付き合いだろ。長くならないことを切に願う。
「よろしく」
「私のことはぜひとも美咲と呼んでくれ」
「わかった。僕のことは誠でいいよ」
神代は満足げに頷くも、次の瞬間には残念そうにため息を吐く。
「それにしても君は心を開いてくれないね」
どういうことだろう。かなりラフに接したつもりだが。
「君とは気の置けない仲になりたいと思っているんだ」
「勿論僕もだ」
「なら、全てとは言わない。けれど少しくらいは本心を表現してくれてもいいんじゃないかい?」
まさか俺が猫かぶっているのがバレているのか?
「どうしてそう思うんだ? 人の心がわかるっていうのか?」
「私は超能力者じゃない。人の心を知ることはできない。君の本心がわかったのはね‥‥‥」
自分を隠して生きていた俺には重大なことだ。何が原因で気づいたのか。聞き逃すわけにはいかなかった。
「それは、私の勘だ」
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