神に愛された男

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 夕焼けが町中を朱く染め、1日の終わりを感じさせる。  なんとか解決の目処も立ち、生活に対する不安も払拭できた。しかし、生活に対する不安はなくなったものの、人間関係に不安を覚えることとなった。  神代のことだ。  勘などという曖昧なもので俺の十数年来の"偽り"を見破った神代は、間違いなく俺の天敵に当たる存在だった。  ただし、今の俺にとっては救世主でもある。  "偽り"を見破られたことに焦り、逃げるようにして出てきてしまったが、やはり信頼を得るためにも本心で話す必要があるだろう。 「今更本心を見せろって言われてもな‥‥‥」  俺を隠す"偽り"は幾重にも重なり、堅固に接合されている。真っ黒な嘘が俺を覆い隠していた。  その黒の中に本当の自分はまだいるのだろうか。
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