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神代は少しの間黙考した後、良いことを考えたと顔を輝かせる。
「そうだ、私の家に来るといい。誠もその方が安心だろう?」
「そんなことできるわけないだろ! 俺は男だぞ!」
男と女が一つ屋根の下は拙いだろ。
「それくらいいいじゃないか。大したことじゃないさ」
「大したことだろ!」
むしろ神代が気にするべきことだ。
「誠は我が儘だね。君の住む場所ができる上に私に四六時中守ってもらえる。こんなにいい案はないというのに」
そう言われるといい考えのような気もする。
「でも誠が駄目と言うなら仕方がない、他の案を出そう。そうだな、ここに住むというのも有りかな」
「それだ!」
風雨さえしのげれば文句はない。
昨夜のように公園で寝るのだけは勘弁してほしい。春とはいえ夜は冷える。
しかも、ベンチには先客がおり、俺は冷たい地面で寝ることになったのだ。底冷えする寒さの中震えていた俺の隣で、キャンプみたいだと楽しそうにしていた貧乏神を何度殴ろうとしたことか。
「誠が気に入ったならそれでいいだろう。ただ学校から許可を貰わなければね」
それもそうだ。神代が大学の教室の使い方を勝手に決めていいわけがない。
「安心してくれ。前も言ったがこの大学の理事長とは顔見知りなんだ」
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