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神代が理事長に連絡するや否や、二つ返事に許可が出た。あっさりし過ぎていて拍子抜けする程だ。
「事務に行って許可証さえ貰えば、ここを好きなように使っていいそうだよ」
「なら今から行ってくる」
「私も行くよ。理事長の用件についても聞かなければならないからね」
「用件?」
「うん。何か解決してほしいことがあるらしい」
流石に無償ってわけにはいかないのか。
「ともかく行こうか。それにしても彼はとても大人しいね」
神代は貧乏神に目を向けた。
確かに静かだ。それに見た目相応に好奇心のまま行動していたのが、今はただひたすらに俺にしがみついている。神代を警戒しているようだ。
「そんなに避けられると私も傷つくな」
神代が悲しげにため息を吐くと、貧乏神は慌てて俺の背中から顔を出す。
「お、お姉さん、ごめんなさい」
神代はすぐさま笑顔を湛えて貧乏神を自分の下へ誘う。
神代が頭を撫でると、貧乏神はえへへと気の抜けた笑いを発する。
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