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大学に入学して初めて見る事務室は驚くほど立派なものだった。
まず注目すべきなのは事務室ではないことだ。そこらの一軒家よりも大きな三階建てコンクリート造りの戸建てである。
次に設備。事務用の簡素なものではなく、一つ一つがトップに立つ者が使用するような華美で、仰々しい装飾がなされており、貧乏人たる俺を圧倒せんばかりだ。
最後に部屋の隅に置かれたキングサイズのベッドやそれと向かい合うように置かれた大型テレビ、その他諸々の生活に必要な家電。間違えて普通の家に入ってしまったかと思った程だ。
カウンターに立つ女性は品よく微笑みを浮かべて、できる女と感じさせる知的な瞳でこちらを射抜いていた。
平凡な顔立ちにもかかわらず何故か気迫を感じさせる女性に気圧されながらも近づいて行くと、口元にポテトチップスの欠片が付着しているのが目に入る。
なんとなしに女性の背後に置かれたベッドに目を向けると枕の下からポテトチップスの袋がはみ出していた。
かなり怠惰な仕事場のようだ。
「理事長から話は伺っております。理事長の依頼ですがこの大学に伝わる七不思議を解決してほしいとのことです」
凛とした声に引かれて女性に顔を向けるといつの間にか口元が綺麗になっていた。
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