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俺は歓喜する。
昔は神を憎んでいた。なんで俺の家は貧乏なんだ。きっと神は俺を嫌っているからだ。そう思い至った俺はとにかく神を憎んでいた。
成長するにつれて俺は神の存在を否定するようになった。神なんて居ない、幸せは自分で勝ち取るものだと必死に勉強をした。
その努力が報われたのだ。憎みもした、存在を否定もした。しかし、そんな不敬を重ねた俺を、俺の努力を見ていてくれたのだ。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
長い間無言でいた俺を心配して声をかけて下さる神様。
「嬉しくてさ」
「僕もお兄ちゃんとずっと話したいと思ってたからうれしーよ」
「ずっと話したいと思っていた?」
俺は思わず口に出す。
「そうだよ。お兄ちゃんが小学生だった時からずっと一緒だったんだよ」
無邪気に笑う神だが、俺は腑に落ちない。
ずっと一緒だったなら何故御利益がない。何故俺はこんな汚いアパートに住んでいるんだ。
「貴方は神様なんですよね」
「そうだよー。僕は貧乏神だよ」
「び、貧乏神だとーっ!?」
俺の絶叫が近所中に響き渡った。
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