引っ込み思案

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「あ、ありがと」 精一杯、言葉にして頭を下げると、神木くんはぽんぽんと肩を叩いた。 「普段無口な蘇芳がこれだけ話すのは貴重だな。それだけで価値があるから気にするな」 だって。 同じ年には思えないよ。 格好良いなぁ~、憧れちゃうよ。 ぽーっと見つめていると、笹塚くんが何やら考え込んでいる。 「あれ?じゃ、蘇芳のルームメイトになる剣の今の同室の奴ってさ…」 「喜多川だ」 !? 神木くんの返事に目を見開いてしまう。 だって…1年の喜多川っていったら、1人しか知らない。 まさか?と思っている僕にトドメを刺すように、笹塚くんはポンっと手をたたいて口を開いた。 「だよね?喜多川 凌(きたがわ しのぐ)!」 やっぱりあの喜多川くんなの!? 喜多川くんは、学園内で秘密且つ大規模に行われた『校内イケメンランキング』で堂々の1位に輝いた人だ。 オーラがあって、とにかく目を奪われる。 背が高くて、出で立ちがキレイで、モデルをやっているのも納得だ。 そう、彼はおしゃれなメンズファッション誌の専属モデルをやっている。 華があって、誰をも魅了する。 僕なんかとは世界が違いすぎる!! …どうしよう…。 先輩から離れられるのは嬉しいけど、そんな派手な人と一緒なんてどうしていいか分からないよ!? …い、苛められたり、からかわれたり、しないかな?
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