引っ込み思案

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青ざめてしまった僕が何を考えているかなんて丸分かりなんだろう、神木くんは苦笑した。 「見た目や言動はチャラいのは否定は出来ないが、悪い奴じゃない。それに仕事が忙しいらしく、あまり互いを気にしたことはなかった」 あ…そうだよね。 目をパチパチとしばたたかせる。 すごい人気で特集とかされてるもん、きっと多忙なはずだ。 顔をそんなに合わせないでいいなら、こっちも気が楽で助かる。 それを聞いてホッとした。 悪い人じゃないらしいし、迷惑かけないようにしなくちゃ! 「では、蘇芳が今同室の先輩には私から話そう。もちろん移動先は秘密厳守だ。あと、なるべく早く変更した方がいいだろうから今週末でいいな?」 会長がまとめてくれたので、首を縦に振って同意を表す。 「俺、荷物運び手伝う」 「あ、俺もー」 横田くんが嬉しい事を提案してくれて、笹塚くんが手を挙げて乗っかってくる。 「ありがと」 僕はありがたく2人の好意を受け取ることにした。 こうして二学期も中盤に差し掛かろうとしていた10月のとある日から、僕は喜多川くんのルームメイトになったのだ。
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