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凌はあんなことした僕を心配してくれた。
嫌わないでいてくれた。
なら、僕も真摯に向き合わなきゃいけない。
こうやって逃げずに、ちゃんと説明しよう。
好きになってしまった事、望んではいない事、……もし、凌に迷惑ならば気持ちを殺す覚悟もある。
凌の望む関係で僕はいる、それで満足なんだ。
「ふっきれたみたいだな」
「はい…遅くに訪ねてすいませんでした」
立ち上がって頭を下げる。
部屋に戻ろう。
まだ、少し怖いけど、いつだって凌は僕を理解してくれる。
素顔を見たときも、女の格好がバレたときも、気にしないでくれた。
そんな凌だから、話は聞いてくれるはずだ。
「待ちなさい」
しかし、会長に止められてしまった。
なにか不都合があるのかと首をひねると、
「この寮には先輩がいる。送っていくから…」
そう言って上にコートを羽織っている。
僕にも上着を貸してくれた。
それだけを受け取り、送ってくれるという申しでは断った。
「先輩は塾の合宿でいないらしいので」
「じゃあせめて、泊まっていって明るくなって帰りなさい」
心配してくれているのは分かったが、それも断った。
「決心が鈍る前に話したいんです」
今は晴れ晴れとした気持ちだけど、時間が経てば色々考えてしまうだろう。
今しかないと思うんだ。
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