執着

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先輩に通じないかもしれない。 分かってもらえないかもしれない。 でも、伝えることを諦めちゃいけない。 「先輩の気持ちが最初は怖かった……僕なんかが好かれるはず無いって」 だから不気味で…… 好きだからじゃなくて、女の代用品として狙われてるんじゃないかと怖かった。 「今は……人に好きになってもらえるなんて初めてだから、信じられない、凄い事だよね」 好きってつい相手を思っちゃって、満たされて、幸せな気分になる。 相手が何をしてくれた訳じゃなくても、姿を見れただけで嬉しくなる。 先輩にとって、それが僕なんだ。 「僕が先輩の気持ちを嬉しいと思えたのは、……凌を好きになったからだよ」 自分も人を好きになって、やっと分かったんだ。 「だから……ごめんなさい」 先輩は話を聞いている間ずっと僕の頬を撫でていた。 話し終わった僕は、沈黙に耐えられなくて下を向いて布団を握り締めた。 視界から先輩を外した途端、ぎゅうっと……抱き締められた。 突然の事で反射的に体を強ばらせたが、……泣きたいくらい切なくて僕は先輩の肩に額をつけた。 抱き返してはあげれないから、ただ、じっと先輩の気が済むのを待った。 強い力なのに痛くないしがみつかれているような抱擁だった。
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