執着

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先輩に僕の言葉が通じたのかどうかは判断できない。 でももう、突き放そうとは思えなかった。 だからなされるがまま居たんだけど…… ガタガタと騒がしい音が響き、二人して顔を上げた。 「叶斗っ!!」 飛び込んできたのは……凌だった。 どうして凌がココに?しかもすごい形相をしている。 こぶしを握り締めて震えている。 「……なるほど」 対照的に落ち着き払った先輩は僕から離れると、ゆっくりと凌の前に立ちふさがった。 「叶斗の言っていた『凌』はお前の事だったのか」 「叶斗に何したんだよっ!!」 手の届く位置に来た先輩に掴み掛かっている。 「残念だがまだ何も」 言いながら、右手で凌の両手を払い、よろけたところに左膝で凌のお腹を蹴り上げた。 「くっ!!」 「!?凌!!」 身体を二つ折りにしてむせている…その苦しそうな様子に慌てて起き上がり凌に駆け寄る。 背中をさすり、凌が少しでも早く落ち着くように寄り添う。 そんな僕達二人を先輩は苦々しそうに、顔を歪めて見下ろしていた。 先輩の方が痛そうにしていた。 「……これ位しないと割りに合わない」 「せんぱ……」 呼び掛けようとした僕を、手を握ることで凌が遮る。 「凌?」 ぎゅうっと力を入れて握られた事にドギマギと心拍数が上がってしまう。
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