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帰ろうとしていた会長が僕のすぐ前までやってきたのが分かったが、顔を上げることが出来なかった。
全部先輩が悪いわけじゃないんだ。
むしろ原因は僕だ。
先輩にだけ罰を受けさせるなんて――
「蘇芳が悲しむ必要はない」
ふるふると頭を左右に振る。
「彼はとても満足そうな顔をしていた」
トントンと慰めるように肩を叩くと、会長は部屋を出ていった。
パタンという音を聞いてから気だるく顔を上げた。
……これでよかったのかな?
僕の所為で先輩は不幸になってないかな。
考えても分かるはずない。
僕は先輩じゃないんだから。
なら、会長が言っていた言葉を信じるしかない。
いつか、ちゃんと謝りたいしお礼が言いたい。
その時はお互い幸せだと……いいな。
自分の部屋に戻るとケータイが着信があったことを知らせるために光っていた。
「誰からだろ?」
手に取り確認するとナツからで、そう言えば会長と凌のやり取りを手助けしてくれたのは彼だ。
なのにその後の報告してなかった。
きっと心配してるはずだ。
なんて薄情なことしてたんだろと慌ててリダイヤルを押した。
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