学園一の男

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ドキッとして、さっきまでの勢いを失う。 『好き』という響きに、ソワソワと落ち着かない。 「その素敵な人はどんな人なのよ?」 ニヤニヤして、完全にからかう気だ。 どうしよう? 学園一格好よくて、モデルしていて、なんて正直に言ったらネタにされちゃう。 王子様×男の娘とか…だ、ダメ!! そんなの妄想でも畏れおおい。 だいたい喜多川くんには…っ!! ───そうだった。 「彼女を大事にしてる…」 思い出して、胸が痛む。 最初に言ってたじゃないか…彼女いるのに男に言いよられて困ってるって。 「そうなの?カナが人を気に入るのは珍しいのに…ノンケなんだ?」 「気に入るって…別にそんなんじゃ…ただ…、凄くいい人なんだ」 なんでもボーイズラブにしようとする、ふーちゃんの考えてるような事はないんだ。 僕は喜多川くんを尊敬していて、彼と友達でいたいだけなんだ。 「男子校だからって、そんなに同性好きばっかじゃないって。そんなの二次元にしか存在しないの」 「イヤー現実はいらないー」 ふーちゃんは両耳を塞いで、断固現実を拒否している。 根っからの腐り具合なんだから! ネタにされるこっちは堪らないよと、ヤケ食いっぽくケーキを頬張った。
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