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「蘇芳は目立たないけど努力してる。人を大事にする…。だから俺だって大事にしたくなるんだ」
僕のこと…評価してくれる人がいるなんて…
僕は、人と比べて…結果は全然ダメなのに…
ちゃんと過程を見てくれる人がいた。
「俺たちには遠慮すんなよ?」
言葉が詰まって、代わりに頷いた。
「俺たちが絶対なんとか解決するから」
もう一度眼をかたくつぶって頷く。
───泣きそう。
やっぱり生徒会のみんなが大好き。
相談して良かった。
「心配だから部屋の前まで着いていっていい?」
「迷惑じゃ…」
「だから、遠慮しないの」
痛くもないデコピンが飛んでくる。
…そうなんだけど、気にしいはもう性分なんだ、簡単には変わらないよぅ。
「笹塚くんって、ホントにお兄ちゃんみたいだ…」
「ナツ兄って呼んでもいいよ?」
きっと弟妹さんたちからそう呼ばれてるんだろうな。
でも、僕は一応同い年だもん。
「んー、なんかヤダ」
「ならお兄ちゃんでもいいよ?語尾にハートマークついてる感じで」
「もっとヤダ…」
「ちょっと期待したんだけど駄目かー」
何を期待してるんだよ…
実の妹に呼んでもらえばいいのに。
「さて、無事到着。中に凌はいるのかな?」
喜多川くんなら今日は仕事ないって言ってたような…
玄関の前につき、ドアを開ける。
鍵がかかってなかったから、やっぱりいるんだろう。
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