心配する人

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「いるみたいだけど…用事があるなら、上がっていって?」 ドアを開けて先に入ってもらうよう促すと、笹塚くんは少し思案した後、玄関をくぐった。 「お邪魔しまーす」 笹塚くんに続いて、僕もリビングに向かい廊下を歩く。 「凌いるー?」 この間仲良くなったばかりとは思えないフランクさで呼ぶと、喜多川くんが部屋から出てきた。 「なんだ、ナツか?叶斗が呼び捨てにしたのかと嬉々として出てきちゃったじゃん」 「へ?」 「ばーか、蘇芳と俺より仲良くなろうなんて甘い」 「ふぇぇ!?」 2人を交互に見て、焦っていると、2人とも満足そうにニヤニヤしている。 あ…僕の反応で楽しんでるんだ?! むっつりと頬を膨らます。 「怒らないでよ。俺たち蘇芳との距離を縮めたいのは事実なんだから」 笹塚くんが二の腕の辺りをポンと叩いて言った台詞に、くすぐったい気持ちになる。 僕、こんなふうに人から親しくなろうとされたことがないから、嬉しいんだけどどう反応していいか戸惑ってしまう。 挙動不振なほどソワソワしてると、喜多川くんが僕の正面に来て目線を合わせた。 「とにかく『凌』って呼んでみ?」 「え?ええ?」 「そうそう、俺は『お兄ちゃん』ね?」 「あ、それズルい」 「えぇぇ!?」 2人に詰め寄られてだんだん壁ぎわに追いやられてしまった。 うわーん、もう逃げ場がないよぅ。
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