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むぎゅーっと押しつけられるように頬摺りされて、僕はより焦ってしまう。
あんまりスキンシップに慣れてないから、恥ずかしい。
「お前らいちゃつき過ぎ、疎外感ハンパないんですけどー」
「あ」
ベリッとナツが引き離される。
今度はナツが凌に首根っ子を捕まれていた。
「だいたいなんか用事あったんじゃねーの?見せ付けに来ただけかよ?」
不機嫌に口を尖らせてナツをギロっと睨んでる。
見せ付けるって…僕とナツはそんなんじゃないし、ちゃんと凌の事も名前で呼んだのに…。
心の中で言い訳して、それでもズキッと痛んだ。
「そーそー、可愛い叶斗のことでお願いがあって寄ったんだった」
当初の目的を思い出したナツは、凌の手を解き、向き直った。
ぼ、僕のこと?
僕自身に心当たりはないよ?
「凌はどうして叶斗が部屋を移ったか知ってる?」
「部屋編成のためって聞いたけど?」
「ナツ…」
何を話すか見当が付いて、ナツの腕をひっぱる。
あまり、知られたくない。
男なのに…情けないだろ?
「凌にも気を付けてもらわなきゃいけないだろ?」
「っ!!」
そうだ、先輩が誤解して、逆恨みとかで凌に害が出ないとは限らない。
どうしよう…もし、凌になんかあったら…僕のせいだ。
「…そんな不安そうな顔しないで、万が一に備えるだけだから、ね?」
励まされて頷きはしたけど、後悔で押しつぶされそう。
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