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まさか…?
だって、凌は男で僕も男だ。
いくら女の格好するからって、心まで女な訳じゃなかった。
それに、凌には彼女がいるし…最初に言われてる。
『彼女いるのに付きまとわれて、うっとーしい』って。
それを聞いていて…
…同性に好かれるのに嫌悪してるの知っていて、好きになるなんて…出来ない。
出来ないよ…。
自覚した瞬間…終わらせなきゃいけないなんて…
「………っ」
…泣きそう。
眉間に不自然に力が入って、息すると嗚咽になりそうで息を止めた。
でも、限界が来る。
…急に泣いたりしたら変に思われる。
どうしようと考えを巡らせていると、背中をぐいっと押された
。
「電話邪魔しちゃ悪いから叶斗んとこいるわ」
………ナツ?
ナツが声をかけると、了解の意味で凌は右手を挙げてる。
ぼんやり見ていると、再び背中が推され促された。
「ほら」
耳元で囁かれ、僕は助かったと思いながら部屋に引っ込んだ。
パタンとドアが閉まると同時に、ナツが頭を撫でる。
「もう、いいよ」
あぁ…ナツはすぐ見抜くんだ…。
僕の気持ちを察して、あの部屋から逃がしてくれたんだ。
「ふぇ…」
ボロボロと自分でも驚くほどの涙が溢れてきた。
出来るだけ声を押し殺してなく僕を、ナツはずっとさすってくれた。
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