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悲しくて、すっごく悲しくて、自分が女じゃないのが悔しくて、彼女に代わりたくて…
同時に…すごく申し訳なくて…
男に好意持たれても迷惑なだけ…
それはストーカーされた僕がよく知ってる。
凌を好きな限り、アレと自分が一緒なのだと思うとゾッとした。
───気持ち悪がられる…嫌われる。
無くなればいいのに、好きなんて。
やっと友達になれたのに…その関係を壊したくないのに。
「…凌が好きなの?」
優しい声色だったのに、恐怖でビクついた。
「違う!!好きじゃない!!」
好きになっちゃいけない!!
「叶斗…」
「…違う、もん…」
首を振って自分に言い聞かせる。
いい人だから、数少ない友達だから、特別だと思い込んでるだけなんだ。
恋愛感情と混同しちゃってるんだ。
好きじゃない。
なのに、涙が止まらない。
…なんだよ、この女々しさ、本当に男らしくない。
ならいっそ、女ならよかった。
女なら…好きでいるくらいは許されたのに。
「はいはい、分かった…俺の気のせいだね?」
“しょうがないそういう事にしとくよ”と、含んでいるナツの言葉に頷く。
すると、部屋にあったボックスティッシュ片手に僕の顔を拭いてくれた。
「───なるほどね、ストーカーされるわけだ…」
「へ?」
ハッとして顔を触る。
涙を拭くために、眼鏡はナツに奪われていた。
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