心配する人

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慌てて両手で顔を隠す。 気を抜いてうっかりしていた。 こんな顔、人にあまり見せたくないのに…。 「見られるのイヤ?」 聞かれたので素直に頷くと、ナツは眼鏡を僕に掛けて戻してくれた。 「俺は、叶斗を可愛いと思ったよ?隠すなんて勿体ない」 そんな事ない。 隠しておかないと、問題が起きる。 いつだって原因はこの顔だった。 しんみりして黙っていると、ティッシュを持った指で鼻を摘まれた。 「はい、ちーん」 「ふがっ!」 「あはは、変な声」 だ、だって急に…うう、恥ずかしい。 鼻水出ちゃったよ。 ずずっと啜ると、また鼻をぎゅっと摘まれた。 「ナツが…いきなり、だったから」 口を尖らせると、よけいににやにやされた。 「手が掛かる子だなぁ~」 なんでそんなに楽しそうなんだよ。 涙やら鼻水やらを拭われた頃、コンコンと部屋がノックされた。 「電話終わったみたいだね」 「………うん」 また少しだけ胸は痛んだけど、涙は止まっていた。 ナツが居て…良かった。 「じゃ、俺は帰るけど大丈夫?」 「うん、ありがとう…また明日ね」 部屋のドアを開けて、ナツは目の前にいた凌にも挨拶すると帰っていった。 残された僕は、深呼吸してから凌に声をかけた。 「明日、遅いんだ?」 たわいもない話をするように自然に聞こえるように、話した。
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