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は…?
え?…何?
いや、なんとなく想像はついているんだけど、断言したくなくて思考が止まる。
「なーんちゃって」
ペロッと舌なめずりして無邪気に笑われている。
………舌。
口元の赤が色鮮やかに目に飛び込んでくる。
「─っ!?ふぎゃぁ!!」
耳を押えて、耳を舐められたことを理解し、今年一番の絶叫をしてしまった。
あり得ない、あり得ない!!
「あはは、すげー真っ赤だし」
「あああああ、当たり前だろ!な、何するんだよ!!」
ぬるってした!
生々しい感触がした!
「いやー、ウルウルした瞳で見つめられて、いつもの癖でつい」
つい、じゃないよ。
心臓がシャレにならない。
「もー…離してよ」
冗談でからかって、僕の気持ちを掻き乱さないでよ。
必死で言い聞かせてるのに、期待しちゃうじゃないか。
嫌われてない、可愛いと思ってもらえてるんじゃないかって、バカな期待をしちゃう。
「残念」
くしゃっと、上げていた前髪を撫でられてから解放された。
近くに居たという圧迫感がなくなり、息をついた。
傍にいたいけど、傍にいたら息苦しい。
誤魔化すのが難しい。
もう、気持ちが自己主張している。
この動機がなぜ収まらないかなんて、理由は1つしかないじゃないか…。
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