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「はい、お疲れ様でしたー」
響く声に、不自然なポーズを辞める。
アニメの決めポーズって実際やってみると、綺麗に見せようと思ったら、筋肉がぷるぷると吊りそうになるんだよ。
今日の撮影は今ので終了。
着替えようと控え室に向かう途中、自販機が並んだ休憩室みたいな場所があり、そこに雑誌がたくさん並べてあった。
今まで気にしたことなかったけど、そこには凌が専属契約している雑誌も置いてあった。
…同じ出版社から発行されてたんだ…。
といってもジャンルが違い過ぎて、スタジオからスタッフまで全く別で接点なんてないだろうけど…。
ラックから手に取り、パラパラと捲る。
………普段の凌とはまた違う。
目付きが全然違って、知らない人みたい。
「あれ?カナちゃんもイケメン好きなの?」
僕を男とは知らないスタッフさんが通りかかり声をかけてきた。
「いえ…あ、でもカッコイイですよね…」
「珍しいね、ほらここの皆は『三次元に興味はありません』って、置いてても見ることないからさ」
それは、やっぱりね…
二次元には理想がそのままいるから。
みんな嫁がいるから興味ないんだろうな。
「メンズ誌は今までそんなに売れてなかったけど、彼と契約して今や社のメイン部門だもんね」
「…そうなんですか」
モデルという仕事に対して、熱く語っていた凌は口だけではないって事だ。
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