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「一緒に仕事してみたい?企画出しとこっか?」
「へ?いえ、そんなつもりじゃ」
慌てて両手を振った。
凌には素顔がバレている、一緒に仕事なんかしたら隠し通せるわけがない。
「残念。今、雑誌を越えた企画が人気でさ…今、オタクって注目されてるじゃない?悪くないと思うんだけど…」
「多分、モデルが互いに乗り気にならないと思います…いくら仕事でも」
「確かに世界が違いすぎるか」
世界が違う…確かにそうだ。
一緒に仕事をしてもうまく噛み合いそうにない。
僕らがお洒落な格好をするのは違和感あるし、トップモデルがコスプレしてくれるだろうか?
無理がある。
「ちなみに前回のやつ、ホラ」
スタッフさんはそう言って、ラックに残っていた先月の雑誌を捲る。
その中で凌は綺麗な女性と、キスしそうなほど顔を近付けていた。
「ジュエリー特集で、女性ファッション誌との企画なのよ」
ジュエリーを写すためにアップなんだろうけど、女性を見つめる凌の熱っぽい表情に釘付けになってしまう。
「すごいリアルな顔…してますね」
「彼はプロ意識高いからね。でもこの写真に限ってはそれだけじゃないかも」
ふふっと笑って、スタッフさんは内緒話だと耳元で小さな声で話した。
「この女性モデルと実際に付き合ってるらしいわよ」
咄嗟に、そのページから目をそらした。
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