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目をそらしても、脳裏に焼き付いている綺麗な女の子。
人形みたいに綺麗で、なめらかな肌をしていた。
柔らかいふわふわの明るい髪。
愛されて当然とも思われる姿をしていた。
頭の中から消したいのに、凌と密着したイメージが消えない。
凌に愛されている人。
抱き締められて、キスだってされたことあるだろう。
僕みたいにからかわれるんじゃなくて、大事に扱われるんだろう。
「カナちゃん?」
眉をしかめて黙り込んだ僕に、スタッフさんは目の前で手を振ってる。
「すいません…ぼーっとしちゃって」
「いいよいいよ。あ、着替えまだなのに話し込んじゃってごめんねー」
僕に反応が戻ったのを確認すると、特に気にすることなく仕事へ戻っていった。
テーブルに残されている、二人が映る先月の雑誌。
ラックに片付けなきゃと思い手に取る。
早く閉じてしまえばよかったのに…
キラキラと幸せそうな2人が目に飛び込んできた。
雑誌の中のお似合いの2人。
世界が違う…その間に入っていける気がしない。
「ヤだな…」
凌に触れないでよ。
そんなふうに見つめ合わないでよ…
…離れて…。
こんな女…だいっキライだ…。
くしゃっと強めに掴んで、乱暴にラックに突っ込んだ。
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