引っ込み思案

7/11
前へ
/160ページ
次へ
今日も授業が終わり、そんな憧れの人ばかりいる生徒会室に来たっていうのにため息が漏れてしまう。 ………正直ずっとここにいたい。 寮に帰りたくない。 「どうした?」 頭を抱えた僕に、神木くんが気が付き声をかけてくれる。 「ちょっと…ルームメイトって簡単には変えられないんだよね?」 「何か困っているのか?」 無口な僕だから普段だったら『なんでもない』と平気な振りをするが、追い詰められた僕は神木くんに相談しようとした。 そんな風に僕が話すのはよっぽどだと、野谷部会長まで話に入ってきた。 オオゴトになったら大変だと、慌てて 「たいしたことじゃ…」 と両手を振り口籠もってしまった。 「何でもないようには見えないよ?遠慮しないで言うだけ言いなって、そのあとの判断はこっちがするから」 笹塚くんか甘やかすように言い聞かせてくる。 横田くんも、同意するように何度も頷いている。 …みんなが優しくて、我慢していた気持ちが溢れて、ギュッと制服を握り締めた。 「同室の3年生の先輩に…付きまとわれてるみたいなんです…」 彼の中で僕は恋人で…ずっと怖くて部屋に鍵を掛けて閉じこもっている。 「僕みたいな奴が…まさかストーカーされるなんてって思うんだけど…自意識過剰とも思ったけど…同室なのが怖いんです」 音もなく忍び寄ってきて、触れられる。 ゾッとして、慌てて自室に逃げ込んでいる。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1298人が本棚に入れています
本棚に追加