引っ込み思案

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最初の頃は、存在さえ無いもののように接されていたのに… キッカケは、眼鏡をしていない素顔を見られてからだ。 こっちが戸惑う程、態度が変わった。 とにかく距離が近いし、肩を抱き寄せたり後ろから抱き締められたり… 「やめてください」 と伝えても、理解してもらえない。 まるで僕が間違っているように、笑う。 そして「好きだよ」と囁かれる。 話が通じないなんて…得体が知れなくて、怖くてたまらない。 僕が話終えると、笹塚くんが眉をひそめた。 そして野谷部会長の方を真っ直ぐと見る。 「蘇芳は可愛いからな…何かあってからじゃ遅いですよ?」 ちょ…僕は可愛くないし、笹塚くんは学園でも大人気の愛らしさじゃないか!! まさかの評価に言葉が出なくて、真っ赤になり口をぱくぱくさせていると、 「ほら、可愛い」 とウインクされてしまった。 うぅ…なんか、適わない。 「………そうだな、ルームメイトは2人きりになる事もあるから、一定の信頼が無いとな」 野谷部会長は笹塚くんの言葉に納得したようで、寮の振り分け名簿を取りに行くとペラペラとめくりだした。 「部屋に空きが無いから…私のとこにくるか?」 「ふぇ!?」 会長はルームメイトさんが学校を辞めたらしく一人なのは知ってたけど、それは畏れ多い!! ずっと緊張しちゃう。 「…または、私がその3年の先輩と同室で…」 「それは駄目です!!」 こんな僕にでさえストーカーする奴だ、会長なんて綺麗な人をあいつと一緒にするなんて絶対させられない。
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