引っ込み思案

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僕が部屋に閉じこもっていればなんとかなるし、引きこもり予備軍の僕は、外に出なくても苦痛じゃないし。 「聞いてもらえただけでもスッキリしたので…」 この話は、終わらせた方がいいと、切り上げる。 部屋の空きも無いんだし、みんなを煩わせたくない。 「なら、俺と変わるか?」 神木くんが、考えた後口を開く。 「俺なら可愛くもないし、もし好意を持たれても武道の心得もある」 確かに神木くんは、カッコよくて愛いくは見えないけど。 それに家が剣道道場かなんか…って言ってた気がする。 「俺のルームメイトは1年なんだが、来年度から新入生とルームメイトになる約束をしているんだ。どうせ変更しなきゃいけないから、3年なら卒業するだろ?ちょうどいい」 と、言われても僕は甘えていいのか判断できなくて、何も言えないでオロオロするばかりだ。 見かねた横田が 「そうしろよ」 って後押ししてくる。 いいの…かな? 怖ず怖ずと神木の表情を伺うと、大きく頷かれた。 「決まりだね」 様子を見ていた笹塚の一言で、決定されてしまった。 神木くんには迷惑かけちゃうけど、正直ホッとした。 学校では学年が違うから、そう出くわさない。 怯えなくてすむんだ。
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