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文久3年、京の町で浅葱色の羽織を身につけた青年が突然ぼやきだした。
「はー、つまらない。退屈すぎて 死んじゃいそうです。
ねえ、藤堂さん?」
「確かに。でも退屈なのは平 和な証拠だよ?総司。」
先程、藤堂と呼ばれた青年は総司と呼んだ青年に向かってニコッ、と笑って言う。
「だとしても、私は浪士と戦いたいんですよ。斬り合いのできない巡察なんて、面白味のかけらもないじゃないですか~」
はぁ、とわざとらしく大きなため息をつくと、総司は腰に差している自分の愛刀に撫でるように触れる。
カチャリ、と刀はまるで沖田の意見に賛成だというように、小気味良い音をたてて鳴った。
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