その探偵、如何様也

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「まあ一つ目が最たる選考理由なのですが、他には私の助手として現場に同伴していただくので、見栄を張る意味でも、情報を集める意味でも、容姿に優れた方が好ましかったということです」 今まで「容姿に優れている」などと言われたことのない私は、何を言われたのか理解出来ず、壊れかけのファービーのように口をパクパクさせていた。 「なに意外そうに鳩が機関銃掃射されたような顔をされているのですか? 自覚はなかったかもしれませんが、見た目はなかなかですよ。私の言葉が信用出来ないようなら助手に判断させますが?」 「あ、いえ、大丈夫で…って助手いるの!?」 しまった。敬語崩れちゃった。まぁいいよね。 それより、鳩が機関銃掃射されたような顔ってどんな顔なんだろう。 「ええ、まぁ、一応。どちらかと言えば、『助手』と言うよりは『同居人』と言った方が正しいでしょうね」 そう言って虚木さんは「真(マコト)、ちょっと来てくれないか」と部屋の奥に向かって手招きした。 「なんだよ透理、ボクに『今日は来客があるから引っ込んでいてくれ』とか言ったくせに」 出てきたのは十一~二歳程だろうか。長く艶のある黒髪を棚引かせる小生意気な目をした美しい子供だった。 何故「少年」や「少女」という形容をしないかと問われれば。それは形容出来ないからに他ならない。私には、それが少年か少女かは全く分からず、服もTシャツに七分丈のガーゴパンツという男女共に着られる組み合わせで、名前も男女共にあり得る名前で、その子がただ美しい子供であることしか理解出来なかった。 「うるさい。『助手は既に居るのか』と尋ねられたから答として引っ張り出しただけだ」 虚木さんは苦々しい顔をしながら至極嫌そうに真の問いに答えた。 その答に真はにやりと何かを察したかのように笑った。 「おいおい透理。その問に『ボク』という答はハズレなんじゃないか? 『助手』を問われてどうして『ボク』が出て来て『弥生』(ヤヨイ)さんが出て来ないのさ」
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