その探偵、如何様也

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「あれは違う。あれは家事用の『アンドロイド』であって助手ではない」 虚木さんは頑なにその弥生という人物のことを助手と認めない。常に表情は苦々しげだ。 「『アンドロイド』ねぇ…まぁいいさ、透理がそう言い張るならそうなんだろうよ」 真はやれやれといった様子で首を振ると、私にその悪戯そうな眼差しを向け、にやりと笑った。 「キミが透理の助手になる娘?」 「ええ、まぁ、一応……」 「ふーん…お姉さん、ちょっと聞きたいことがあるんだ」 「止めろ真」 「お姉さん、どうしてここに来たの? 教えてくれないかな?」 真は私の瞳を覗き込んで問う。暗闇の中の水鏡のような、不思議な輝きを宿した瞳。深淵を通して自分を覗き込むような深い黒。 私はこの子の瞳に吸い込まれる。嘘も、建て前も、全て見透かされ、全て打ち消され、口が真実を語ろうとする。 「真、『止めろ』」 虚木さんが語調を強くして言った瞬間、私はハッと我に返る。そして、自分が何を話そうとしていたか。自分が何を口走ろうとしていたか、思い起こすと怖気が走った。 私は、これまでの経緯を余さず、ありのままに、真実のみを語ろうとしていたのだった。人として当然な見栄も、虚構も、虚像もない。あるがままの真実を……。 「ふふふ、合格だよ、いい具合に美人だ。着飾れば社交場にも出れるんじゃないかな。いやはや、いい情報収集係を見つけたね、透理」 そう言い残して、真は茫然とする私と真を睨み付ける虚木さんを残して奥に引っ込んでいった。 「すみません。あいつに瞳を覗き込まれた人間は、たった一つだけですが、必ず真実を語ってしまうのです」 そう謝る虚木さんの表情は、苦虫を噛み潰したような顔のままだった。
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