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朝。朝日によって目が覚めた俺はまず唖然とした。
「灯夜。おはよう」
「灯ちゃん。おはよう」
父さんと母さんが袋に詰められて壁に吊されていた。
「……」
「灯夜、言葉が出ないのは解る。父さんも今の状況には言葉が出ないからな」
「母さんもよ。とりあえず灯ちゃん。降ろしてちょうだい」
「え、あ、うん」
俺は何故か用意されていたはしごに乗って両親の袋に繋がってる縄を引っ張った。
すると、ストン、なんて可愛らしい音じゃなく床が抜けるかと思う程の音が響いた。
結果、両親苦痛の呻き。
「ぐっ…灯夜。覚えておけ。男は如何なる場合でも堂々としておく事だ。痛い」
袋に詰められていて堂々となんてしてられないよ。
「…っ!女はね。どんな時でも強いのよ。こんな痛みなんて、灯ちゃんを産んだ時の痛みより軽いわ。痛い」
結局、二人共痛いんだね。
…俺の親ってこんな性格だったかな?
「父さん、母さん。二人共なんで袋に入ってるの?」
「あー、可愛らしいお嬢さんとペットに説教されて拉致された」
「その通りね」
「信じられるわけな……」
ここでふと夜中の事を思いだした。
お嬢さん。ペット。
……え。
「お嬢さんの方サンタの格好してた?」
「ああ。そうだ」
「自分の事をサンタとも言ってたわね」
「……」
あいつら通報すればよかった。
「さて、灯夜」
「なに?」
「ご飯食べようか」
「……え?」
「昨日、用意してくれたんだろ?」
「う、うん。……あ!」
昨日、用意した料理。飾り着けした物。
全部ぐちゃぐちゃにした。
しかもそのままだ。
「あ、あの…その」
「さぁ下に行こうか」
「灯ちゃんも行こう?」
「あ…」
俺は母さんに手を引かれて階段を降りていった。
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