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この前、家の黒猫のクロが猫又とわかったが、特に何の事も無く普通の生活を送っている。
「クロ。重い」
「れでぃの僕に重いって言わないでよ、ご主人」
クロは、あぐらをかいている俺のところに、ちょこんとすっぽり納まっている。
猫の姿なら普通に軽いんだけど、今は変身した姿、つまりは人の姿で重くなっている。猫の時に比べたら、って意味だが。
質量保存の法則はどこに?
「なんでその姿なんだよ?」
「こっちのが、ご主人喜ぶ」
「いつ俺が喜んだ?」
まったく。喋るとこんな性格だったなんて知らなかった。
猫の時に擦り寄ってきたのも、こういう意味だったのだろうか?
少年のような幼さが残る顔立ち。髪は短く、頭にはネコミミ。しっぽは二本。あと、僕っ娘か。
…なんだろうか。どっかから『萌える』って単語がよく聞こえるんだが?
「そういや、お前その服俺のだろ?この前も俺の着てたな」
「ぶかぶかー」
「なんで着てるんだ?」
「だって僕、変身したら寒いんだもん。だからご主人の借りてる」
つまり、変身したら真っ裸だと?
………はっ。ダメだ。コイツは飼い猫飼い猫飼い猫飼い猫飼い猫の猫だ。
想像するな俺。
「ご主人。見たい?」
「見た……くはない。何を言ってるんだアハハっと」
「また今度見せてあげるね」
「馬鹿!」
俺はクロの頭を優しく撫でると、クロは「ふにゃ」って鳴いて、気持ち良さそうに顔を緩ませた。
まったく、可愛い奴だなコイツは。
そんな俺とクロの暇な一日だった。
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