第四章・猫又2

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この前、家の黒猫のクロが猫又とわかったが、特に何の事も無く普通の生活を送っている。 「クロ。重い」 「れでぃの僕に重いって言わないでよ、ご主人」 クロは、あぐらをかいている俺のところに、ちょこんとすっぽり納まっている。 猫の姿なら普通に軽いんだけど、今は変身した姿、つまりは人の姿で重くなっている。猫の時に比べたら、って意味だが。 質量保存の法則はどこに? 「なんでその姿なんだよ?」 「こっちのが、ご主人喜ぶ」 「いつ俺が喜んだ?」 まったく。喋るとこんな性格だったなんて知らなかった。 猫の時に擦り寄ってきたのも、こういう意味だったのだろうか? 少年のような幼さが残る顔立ち。髪は短く、頭にはネコミミ。しっぽは二本。あと、僕っ娘か。 …なんだろうか。どっかから『萌える』って単語がよく聞こえるんだが? 「そういや、お前その服俺のだろ?この前も俺の着てたな」 「ぶかぶかー」 「なんで着てるんだ?」 「だって僕、変身したら寒いんだもん。だからご主人の借りてる」 つまり、変身したら真っ裸だと? ………はっ。ダメだ。コイツは飼い猫飼い猫飼い猫飼い猫飼い猫の猫だ。 想像するな俺。 「ご主人。見たい?」 「見た……くはない。何を言ってるんだアハハっと」 「また今度見せてあげるね」 「馬鹿!」 俺はクロの頭を優しく撫でると、クロは「ふにゃ」って鳴いて、気持ち良さそうに顔を緩ませた。 まったく、可愛い奴だなコイツは。 そんな俺とクロの暇な一日だった。  
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