第六.五章・猫又とぬらりひょん

2/2

97人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
こんにちわ。僕、猫又のクロです。 今の時間は、いつもならご主人が学校から帰ってきてる頃合いです。 だけど、まだ帰ってきてないです。 遅いよ、ご主人。お腹すいた。 そして、ご主人の代わりに、知らない女が僕の指定席でぬくぬくしてやがります。 「そこ、僕の場所」 「こたつは最高だね。あ、これ欲しい?」 「塩は間に合ってるよ」 黒い着物を着た女が、僕のこたつで満喫なう。 …こたつは僕のJUSTICE(ジャスティス)。誰にもお邪魔させたくないアバロン。 ニャー。フシャー。 「私に威嚇しても、何もなんないよ?」 「フーフー」 「しゃーないねぇ。ほら、ここ代わってあげる」 「……ありがとうは言わない」 「いいよー。私は反対側に座るからさ」 おかえり、僕の理想郷。ぬくぬく。 ニャ~。 「あんた、【猫又】かい?」 「そういう君は、図々しくも、ぬらりくらりしてるから【ぬらりひょん】だニャ」 「正解ー。賞品は伯方○塩で」 「だから、塩は間に合ってる」 あ、そういえば。ご主人、壁に盛り塩作ってた。 やっぱり塩もらおうかニャ? 「それ、やっぱり頂戴」 「いくらでもどうぞー」 「でも、ありがとうは」 「言わない、でしょ?」 「うん」 やった。ご主人の役に立つ事ができる。 僕にとって、大切なご主人の役に立つことはとても嬉しい。 ニャン。ニャ~。 「それにしても、今日は遅いね」 「ご主人のこと?」 「うん。いつもなら、これぐらいの時間だしさ」 「僕、お腹すいた」 「私も」 「「早く帰ってきて(よー)(ご主人)」」 こたつはぬくぬくするけど、ご主人が居たらぽかぽかする。 こたつは体を。ご主人は心を。 本当に暖かくするなら両方ないとダメ。 うん。ご飯は欲しいけど、それが無くてもご主人には早く帰ってきてほしいニャ。 そんなある日の、帰りが遅いご主人と僕とぬらりひょんでした。まる(肉球形)。  
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加