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『火間。隣の明(あかり。俺の苗字)とじゃれあってるからわからないんだぞ?ちゃんと聞いとけ』
「へいへいー」
『"はい"は1回でいいが、"へい"は0回でいい。じゃこの数式は違う奴で―――』
「……はい」
やっと静かになった。
火間が邪魔をする、俺が先生に言う、先生が問題を出す、火間が黙る。
この流れが、火間が転校してきた初日から続いているから慣れたもんだ。
「……邪魔な先生だな。邪魔はオレだけでいいのに」
「そうだよな。お前だけで十分だ」
「だろ?オレの邪魔道は誰にも邪魔させないぜ!」
「なら邪魔だから廊下で立ってろよ」
「OK相棒。じゃ行ってくるぜー。あ、先生廊下立ってくる」
『許可する』
火間はスタスタと教室を歩き、静かに扉を開けて――
「オレは邪魔に命を賭ける!皆は勉強に命を賭けて頑張れ!じゃ!」
ガラガラ、ガシャン!
――そして豪快に扉を閉めて、廊下に立った。
教室内の皆の反応は、
『頑張るから頑張れー』
『火間ちゃんが廊下に立たないと授業受けた気がしないねー』
『ねー』
『私は授業頑張るかー。皆、ここ明日のテストに出るから写しとけよ』
これ。
もう、ね。皆、慣れすぎて恒例になってる。
扉のガラスのところからニカッと笑いながらピースサインを出している火間に、俺はグッドサインを逆にしてプレゼントしてやった。
さて、テスト前の授業だ。
真剣にノートを写しにかかった俺であった。
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