第七章・火間虫入道

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『火間。隣の明(あかり。俺の苗字)とじゃれあってるからわからないんだぞ?ちゃんと聞いとけ』 「へいへいー」 『"はい"は1回でいいが、"へい"は0回でいい。じゃこの数式は違う奴で―――』 「……はい」 やっと静かになった。 火間が邪魔をする、俺が先生に言う、先生が問題を出す、火間が黙る。 この流れが、火間が転校してきた初日から続いているから慣れたもんだ。 「……邪魔な先生だな。邪魔はオレだけでいいのに」 「そうだよな。お前だけで十分だ」 「だろ?オレの邪魔道は誰にも邪魔させないぜ!」 「なら邪魔だから廊下で立ってろよ」 「OK相棒。じゃ行ってくるぜー。あ、先生廊下立ってくる」 『許可する』 火間はスタスタと教室を歩き、静かに扉を開けて―― 「オレは邪魔に命を賭ける!皆は勉強に命を賭けて頑張れ!じゃ!」 ガラガラ、ガシャン! ――そして豪快に扉を閉めて、廊下に立った。 教室内の皆の反応は、 『頑張るから頑張れー』 『火間ちゃんが廊下に立たないと授業受けた気がしないねー』 『ねー』 『私は授業頑張るかー。皆、ここ明日のテストに出るから写しとけよ』 これ。 もう、ね。皆、慣れすぎて恒例になってる。 扉のガラスのところからニカッと笑いながらピースサインを出している火間に、俺はグッドサインを逆にしてプレゼントしてやった。 さて、テスト前の授業だ。 真剣にノートを写しにかかった俺であった。  
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