第八章・トイレの○○さん2

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コンコン 「はーい。はいってるよ」 おかしい。 コンコン 「はーい。だからはいってるよ」 おかしいだろ。 「なんで、"俺ん家"のトイレにはいってるんだよ花子ちゃん…」 このやり取りでわかると思うが、ここは俺ん家だ。 そして、俺が通ってる学校の旧校舎の3階トイレにいるはずのコイツが、何故か俺ん家に一つしかないトイレにはいってやがった。 お前、どうやって来た?玄関開く音しなかったぞ?姿見られたくないんじゃなかったのか?なんでここに、というかトイレにはいる? と、いろいろと疑問が浮かんでくるが、手っ取り早く聞いた方がいいだろうな。 「それで、なんで俺ん家に居るんだ?しかもトイレに」 「旧校舎の便器が冷たいからだよ。君ん家の便器暖かいね」 「それだけの理由かよ」 「うん」 旧校舎のお前の指定席(奥の個室)に電気ストーブ買ってきて設置してやろうか? あと、便座カバー。 「次の質問だ。どうやってきた?玄関から音が聞こえなかったが…」 「トイレ経由で来たよ」 「え?」 「ト・イ・レ・経・由!」 「え?」 「渡居霊(トイレ)流、花子さんこんにちはの術だよ!」 「頭、大丈夫か?」 「ごめん。ツッコミして欲しかったのに心配はやめてよ」 どうやら落ち込んだようだ。 いや、ふざける前に真面目に質問に答えてくれたらいいのに。 「まぁ、どうやってきたかは置いといて…」 「だからトイレ経由でだよ」 「…置いといて。でさ、なんでわざわざトイレにはいってるんだ?そんなに見られたくないのか?」 コイツと知り合って以来の謎。姿を知らない。 コイツ、花子ちゃんは姿を見られるのを酷く嫌う。 前に旧校舎のトイレで見ようと思っていつもの個室の上から覗こうとしたら、おもいっきり水をぶっかけられた。 『君は痴漢かっ!?やめてよね!この変態っ!』 って言われたのはちょっと(酷く)傷ついた。 男子トイレに居るお前はどうなんだよ、って話しだが。 「…そんなに私を見たいの?」 「っ!」 予想外な返事がきた。 はっきり言うと、俺はどんな奴なのか凄く見たいし知りたい。 だけどなぁ…。  
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