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「え?え?な、何?」
俺は近くにあった枕を抱き抱え、後ろに下がった。
破壊されて、かなり開放的になった窓を見る。
そこにはさっきの二つの影の正体がある。
サンタクロースのような服を着た女性。あと血だらけのトナカイ。
何あれ怖いっ!父さん!母さん!怖いよっ!
俺が頭の中でパニックを起こしていると、サンタのコスプレの女性が開口一番に叫んだ。
「トナカイぃぃぃっ!派手に壊すなよ馬鹿たれ!静かに壊せや!」
「え、何その理不尽?つか姐御、見て。私の体見て。特に頭。血がヤバい。ヘルプミー」
「男なら血で血を洗うぐらいの度胸をつけとけ!」
「私、メス。OK姐御?」
「チ○○ぐらいつけとけよトバカイ」
「おいぃぃぃぃぃ!!あんた女の子だろうが!なんてこと言ってんだよおぉぉぉ!」
「やかましいトバカイ!」
「やかましくもなるわ!つかトナカイの『ナ』を『バ』に変えないでくださいよ!」
「馬鹿なトナカイにトバカイって言って何が悪いんだ?」
「動物愛護団体に電話すんぞ」
「ハッ!動物を愛護する団体のくせに大好物は牛肉、鳥肉、豚肉の連中なんざ信じられっかよ!糞が!」
「…姐御。あんた動物愛護団体と何かあったんですか?」
「…ちょっと、な」
どうしよう。怖く無くなってきた代わりに、言いようがない怒りが沸き上がってきたんだけど。
コントするなら窓壊さないで欲しかったんだけど。
というか、
「お前達出てけ!」
「うおっ!なんだ!?ってガキか…脅かすなよな」
「姐御。サンタのくせに子供をガキ呼ばわりはちょっと…」
ガキ
「あ。…まぁなんだ、子供は寝とけ。いい子に寝ないとプレゼントやらねぇぞ?」
「子供と書いて、ガキって読んだら意味ないです姐御」
「さっきからうるせぇトバカイがっ!」
「またトバカイって言った!訴えてやる!」
「動物が人間様を訴えられるかよばーか!」
「ぐぐくかきげごぐぎかかがき……。ちょっと待て。姐御も人間違うじゃないですか。どっちかって言うと、妖怪ですね」
「あたしは精霊だよ!妖怪じゃねぇ!」
「うわっ…自分で精霊とか…引くわぁ」
「よし。表出ろや糞トバカイが」
「望むところだ。糞精霊(笑)さんが」
二人?は破壊した窓から外に飛び出して行った。
……いや出てけって言ったけどさ。
そうじゃないだろ。つかなんで喧嘩になってるの?
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