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10分後あの二人は帰ってきた。
勝敗はあきらかだった。
「ハッハー!最高にHIGHってやつだ!」
手が血だらけだけど、体は無傷のサンタコスプレイヤー。
「私トナカイやん?ゴホッ、トナカイやから殴ろうにも殴れゴホッやん?蹴りなんてゴホッ後ろしか無理やん?突進もゴホッ直進だけだから避けられるやん?ゴホッゴホッ横突かれたらそら負けるやん?つか私、ゴホッ、窓破壊したとき重症だったやん?ゴホッゴホッ」
息が絶え絶えのトナカイだった何か。
とりあえず総合して、なにやってんのお前ら、って気分だよ。
「つかよぉ!ガキ起きてたら仕事になんねぇじゃんか!」
「あ、姐御!殴らないで!いや!もう腫れる場所ないからグハッ!」
「いや仕事とかどうでもいいから窓壊した分の修理代置いて出てけよ。きちんと金額割り出しといたから、それ払えば通報だけは勘弁してあげるよ」
「……今時のガキはしっかりしてんだな」
「……姐御。払いましょうか」
しっかりと払ってもらった。
父さんがこういう計算の仕事してたから、教わっといてよかったよ。
「で、ガキ」
「なに、サンタクロースのコスプレイヤーさん?」
「コスプレじゃねぇよ!あたしモノホンだからな!」
「早く帰ってよ不法侵入者」
「「………」」
ぷい。ってそっぽを向いた一人と一匹。
自覚あるなら出ていって欲しいんだけどな。
「まあまあ落ち着けよガキ」
「落ち着いてるよ」
「あたしは見てのとおりサンタクロースだ」
「のコスプレだよね」
「姐御!相手は子供です!拳を抑えて!落ち着いて!」
サンタ(もうサンタでいいや)はトナカイに言われて深呼吸し始めた。
「……今更だけど、トナカイが喋ってる」
「あ、申し遅れました。サンタクロースの姐御に仕えるトナカイと言います」
ぺこ。と首を曲げてお辞儀をするトナカイ。
「まぁ、挨拶はどうでもいいから出てって欲しいんだけど?」
「姐御!止めないでください!子供に教育するのが大人の役目です!」
「落ち着けって言ったのはテメェだろ!落ち着けトナカイ!突進しようとするな!」
こういう時間が後5分続いた。
近所迷惑にも程があるよ。
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