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「―――要するに、だ。あたしはサンタ。いい子にプレゼントを配る精霊さんだ。解ったな?」
「病院の時間過ぎてるから、明日行った方がいいよ?」
「よし解ったな。OK。落ち着いてるよなあたし?」
「姐御頑張って!」
もういいや。この女性はサンタと。トナカイはソリを引くペットと解ってあげよう。
「解ったから出てってよ。俺もう寝るから」
「早く寝ろ!仕事は寝てる間だからな!」
「その言動だけみると泥棒にしか見えないよね」
「寝ろや」
般若のような顔だ。怖い。
「君。早く寝た方がいい。こうなった姐御はヤバい」
「寝た方が怖いんだけど…」
「寝たら、君が今心の奥底から望むモノがプレゼントされる、姐御は仕事ができる、私は安全に運べる。これで皆幸せだ。解るよね?」
「心の奥底から望むモノ……」
俺が望むモノは二つある。
だけど、もう叶わない。
何故か、さっきの怒りが込み上がってきた。
「……帰れ」
「え?」
「帰れって言ったんだよ!もう俺を惑わさないでよ!俺が望むのは叶わないんだよ!だから帰れよ!」
「お、おいガキ…」
俺は抱いていた枕をサンタに投げつけた。
「っ!」
「帰れ!帰れよ!帰ってよ!」
「あ、姐御…」
「…帰るぞ」
「う、うぅ…うわあぁぁぁぁぁぁ!」
怒りと共に涙も出てきた。
「トナカイ!行くぞ!」
「は、はい!」
サンタ達は壊した窓から出ていった。
俺は布団を被ってひたすら泣いた。
涙が涸れると思うぐらい泣いた。
そして、いつの間にか眠ってしまったようだ。
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