外伝・サンタクロース

6/8
前へ
/36ページ
次へ
「―――要するに、だ。あたしはサンタ。いい子にプレゼントを配る精霊さんだ。解ったな?」 「病院の時間過ぎてるから、明日行った方がいいよ?」 「よし解ったな。OK。落ち着いてるよなあたし?」 「姐御頑張って!」 もういいや。この女性はサンタと。トナカイはソリを引くペットと解ってあげよう。 「解ったから出てってよ。俺もう寝るから」 「早く寝ろ!仕事は寝てる間だからな!」 「その言動だけみると泥棒にしか見えないよね」 「寝ろや」 般若のような顔だ。怖い。 「君。早く寝た方がいい。こうなった姐御はヤバい」 「寝た方が怖いんだけど…」 「寝たら、君が今心の奥底から望むモノがプレゼントされる、姐御は仕事ができる、私は安全に運べる。これで皆幸せだ。解るよね?」 「心の奥底から望むモノ……」 俺が望むモノは二つある。 だけど、もう叶わない。 何故か、さっきの怒りが込み上がってきた。 「……帰れ」 「え?」 「帰れって言ったんだよ!もう俺を惑わさないでよ!俺が望むのは叶わないんだよ!だから帰れよ!」 「お、おいガキ…」 俺は抱いていた枕をサンタに投げつけた。 「っ!」 「帰れ!帰れよ!帰ってよ!」 「あ、姐御…」 「…帰るぞ」 「う、うぅ…うわあぁぁぁぁぁぁ!」 怒りと共に涙も出てきた。 「トナカイ!行くぞ!」 「は、はい!」 サンタ達は壊した窓から出ていった。 俺は布団を被ってひたすら泣いた。 涙が涸れると思うぐらい泣いた。 そして、いつの間にか眠ってしまったようだ。  
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加