ー二日目ー

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食器の音しかしない空間で、朝食を食べながら考えていた。 こんな田舎に学校なんかあるのかな? というか、他の人は住んでいるのかな? 「あの……」 「何だ?」 「学校は遠いのですか?」 「車で30分だ」 「じゃ、歩いて行けますね」 「車だと言ったはずだ」 「でも、俺」 「俺ではなく僕と言いなさい」 「………はい」 望んでここに来た訳じゃない。 なのに…… 「ごちそうさまでした」 こんな雰囲気の中での食事なんて美味しくない。 まだ、冷めたコンビニ弁当を友達と食べたほうが美味しい。 「おばあさま」 「なんだ」 「に……お庭を見てもいいですか?」 「好きにしなさい」 「はい」 太陽の下なら少しは心が晴れるかな? 玄関から庭に出て、しばらく歩いた。 そうだ、あの犬はどこかな? 迷子になりそうな広い庭を歩き回り、漸く見つけた。 「いた!……名前は…竜王?」 頑丈な檻に書いてある名前を読みながら頷いた。 「こんにちは、俺…僕は蘭那だよ」 反応なしとか…… 犬にまで無視されるなんてね。 「……もう、泣きたくなにのに……お願いだよ…無視しないで」 どうしてこんなに悲しいのかなんてわからない。 だけど、自分の存在が消えてしまうようで悲しかった。
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