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「それで、話は?」
「ですから」
「お願い、絶対誰にも言わないから」
「しかし」
「お願い」
「仕方がありませんね……私のご主人は蘭那様ですのでお話します」
「うん」
「その仲のよかった犬はどこからか迷い込んで来た雑種で何度屋敷の外に出しても戻ってきてしまい、ある日いつものように追い出そうとしたと時、逃げる途中に奥様の育てていた薔薇を……怒った奥様は追い出すのをやめ、しばらく餌を与えて安心させ、なつかせてからある日猟銃で撃ち殺してしまったのです」
「え?」
猟銃って……
嘘だろ?
それに餌でなつかせてからだなんて、ひどすぎる
「それを見た竜王が突然奥様を」
「友達が殺されたんだから……」
「殺された犬には竜王の子供が」
「そんな……ひどい」
「奥様は全てに完璧を求められる方ですので、花壇を荒らされた事が許せなかったのでしょう」
「だけどっ!確かに噛み付く事はいけないけど……だったら」
だったら……
一緒に殺された方が幸せだったんじゃないのかなんて……考えてしまったんだ。
「そろそろ学校へ」
「………うん」
その時に見た、竜王の瞳はどこか俺に似ていた。
全てを諦めたような暗い瞳。
言葉は話せないけど、とても辛そうな瞳だったんだ。
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