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「蘭那です。こんにちは」
「………男の子のくせに女みたいな顔だ」
「……………」
一番ムカつく言葉を言われた。
顔は俺が一番気にしている部分なのに。
「じゃ、私は行くわ」
「ママ……」
「だから私は反対したんだ……それなのにお前は忠告も聞かず家を飛び出してそれっきり……そして17年後にかかって来た電話の内容に飽きれるしかなかった」
「あら、貴女の孫じゃない」
「ふん」
「じゃ、仕事があるから行くわ」
「ママ……」
「蘭、いい子にするのよ」
「………っ」
それ以上、引き止めるなと言うような視線が突き刺さった
俺は、両手を握り締めて俯くしかなかった。
もういいや……
こいつにとって俺は邪魔な存在なんだ。
だからこんな田舎まで連れてきて置き去りにしようと……
「蘭、お前の部屋は二階だ」
「………はい」
「案内しますのでどうぞ」
母親の見送りすらしないおばあちゃん。
きっと、俺を押し付けられた事にムカついているんだ。
「貴方は?」
「私は奥様にお仕えする執事です」
執事……
本当にいるんだ。
こんなど田舎なのに驚いた。
階段を上り、廊下を歩きながらいくつ部屋があるのかと考えていた。
「こちらでございます」
「うん」
案内された部屋は、豪華だったけど、なんぬくもりもないような部屋だった。
「夕食は6時ですので、またお迎えにあがります」
「うん」
食欲なんてないのに返事をするしかなかった。
広いだけの部屋に置かれたベッドに倒れこみ、漸く泣く事が出来た。
勝手な親なんかもういらない。
俺は本当に一人ぼっちになってしまったんだ。
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