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俺とリンは屋根の上を転げまわり、西洋甲冑は勢い余って地面へと落下する。
だが、あの程度では死なないだろう。
「早くどきなさい!」
視界に意識を向けると、俺はリンの上におおいかぶさっていた。リンの甘い吐息は激しく、心なしか顔が赤らんでいるように見えた。
「ああ、悪い。重かったか?」
「そういう問題じゃないでしょ」
リンがともえ投げで、グダグダしていた俺を後方へ吹き飛ばす。背中から叩きつけられる衝撃に俺は息をのむ。
そりゃあ……ないんじゃないの……。
「クッすばしっこいわね。見失なったわ。どっかの馬鹿が作ったと思えない」
俊敏に立ち上がったリンが、なんじゃくに呻いてる俺を鋭い眼差しで見つめる。
「どっかの馬鹿としては、誰かさんが造ってくれといったから造ったわけなんですがね。リン--奥にある紫のワゴンの横にいるよ!」
西洋甲冑も確認されたことに気づいたようで、止まっていた足を再び動かし始めた。
「なんで大声だすのよ。私だって気づいてたのに。馬鹿じゃないの? ※※:氷結:*」
リンの言葉を皮切りに、駐車場一帯に液体窒素をぶちまけたかのような霧がかかる。
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