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「じゃあ帰りのHR始めんぞー、座れー」
この学園は曲がりなりにも進学校であるため、二日三日経てばフルで授業が入り始める。
七時限目を終えた生徒たちの顔には早くも疲労とダルさの色が見えた。
――だがそんな中、俺はクラスの中で早くもカップルらしき生徒を見つけ、内心ホクホクしながらその様子をこっそり観察していた。
外見で目立つわけではないが、優しい気遣いを見せる背高野郎と、そんな彼だけに満面の笑顔を見せる小柄な男子。
これは良い萌えだ!
零に伝えねばと、俺は携帯を取り出しすぐさまメールを出した。
「――部活動の仮入部は来週からだからなー。
あー、後はー……」
返信を待つ間、今度は前田先生を観察する。
今日は金曜日なので、ホスト前田が来週の予定をメモを見ながら話していた。
意外としっかりしてるんだよなーと失礼なことを思ったけど……真のホストは気遣いが人一倍出来るって言うよね!
いい先生だから、いい人とくっついてほしいんだけど……。
(あれはきっと相手を気遣える攻めか、……強気受け?)
チワワとも戯れてほしいし、ドS俺様にも弄られてほしいし…んー、先生が一人いるだけでこんなに妄想できるとは(笑)
腐腐腐…!
そんな俺の腐った内心など知らない先生は、号令係に声をかけてHRを終わらせた。
さぁ、帰るか。
…と思った矢先に、零からの返信が届いた。
【その情報確かに頂いた。
いいクラスにいるんだな、羨ましいよ!w
あ、そういえば大翔は部活どうするつもり?】
部活か……。
何もやらないのはつまらないし勿体無いって父さんに言われたけど……あまり忙しいのに入ったら萌が見れぬ。
むぅ……と考えていた俺に、唐突に声がかけられた。
「やぁ、誰とメールしてるんだい?」
携帯を手にしたまま振り向くと、声の主は大屋陽輝だった。
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