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「……ありがとう、ございます」
しばらくすると、腕の中の彼が顔を上げてそう言った。
落ち着いたかな?
目元が赤いし、ボロボロの体だけど、今は目にしっかりと意志が宿っている。
「……歩けるか?」
「は、い…なんとか……、っ!」
彼を離してやった俺が問いかけると、彼は返事をするも立てないようだ。
「あ、はは…腰が抜けちゃったみたい……」
そう言って儚く笑う彼を見て、放っておけないよな、と俺は判断。
素早く携帯を取り出して、理事長――父さんに電話をかけることにした。
『もしもし』
「俺だが……」
『おっと、どうした?』
「……校門横の林中で強姦未遂」
『!! …わかった、その調子だと犯人は捕まえたんだな』
「あぁ、放置だ。
……俺は保健室に」
『了解、被害者を頼む。
場所はわかるか?』
「……問題ない」
『ふ、高校はそのしゃべり方で過ごすのか。
……まぁいい、じゃあ加害者は任せろ』
プツッ、ツー、ツー……
なんだか最後にバカにされた気がしたが……あいつらの処置はこれでいいだろ。
さて。
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