-入学騒動の章-

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こっちは……保健室に行くか。 電話をしていた俺を黙って見上げていた彼を、おもむろにヒョイと抱き上げる。 俗に言う姫抱き。 この方が運びやすいかな、と思ったんだが。 おお、軽い。 「っえ?? ぅわ……降ろしてくださっ」 彼は慌てふためくが、どうせ歩けないんだからと、抗議の声は無視。 てか、いつまでも名無しで呼ぶの疲れた。 「……俺は黒羽大翔。 お前、名前は」 「ぼ、僕? えっと、竹内健人です」 健人か。いきなり名前を聞かれて挙動不審になってるところも庇護欲や加虐欲を誘うんだろうな。 なんとなく納得。 で、それ以上は互いに何も発することなく歩みを進め、保健室まで辿り着くことができた。 だって俺だもん。 地図は第一体育館への行き方を覚えるときにあらかた暗記済みだし。 …てか、今思い出したけど。 (こりゃ入学式はサボりかぁ……) .
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