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彼とはあの自己紹介時以来、一回も面と向かって話したことはない。
「……友人とだが」
ぶっちゃけいきなり声をかけられた理由が俺には分からず、若干首を傾げた。
「そうなんだ!
結構頻繁に携帯いじってるようだからさ、仲良い奴がいるのかなーって思ってさ」
「……あぁ、そう」
そっけなく返すも、依然人の良さげな笑みを浮かべている大屋陽輝。
だがその瞳は笑っていないというか、なんというか……
例えて言うなら――企みを思いついたときの零の瞳と同じだ。
え…なんか嫌な予感がヒシヒシとするんですけど。
「……で、何か用か? 大屋」
ちなみに俺は仲良い奴しか名前で呼んでないよ。
嫌がる相手は言わずもがな、例え頭の中で呼び捨てでもあだ名であっても、口に出すときは気をつけてる。
ともかく、特に仲がいいわけでもないのに急に話しかけてきたんだ。
俺はさぞかし不思議そうに見ていることだろう。
「ああ! 僕、キミと友達になりたくてね。
で、ついでに聞きたいことがあるんだけど」
相変わらず笑いながら何気なく机上のカメラを手に取った大屋。
「……へぇ、何?」
(友達、ねぇ……)
不審に思っちゃ駄目だろうか?
そんな困惑気味の俺に、爆弾発言が炸裂した。
「そのメールの相手ってさ。
――新歓の時隣に居た金髪の生徒かい?」
(…ッ!?)
ははっ…うわー
俺終了のお知らせ?(笑)
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