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親の都合で引っ越すことになり生まれ故郷で過ごせる最後の日、あいつは俺に言った。
「何かを信じるには信じるのに必要な“力”が必要だ。“信じる”ってことはそれだけの価値があることを忘れんなよ。」
別れの台詞がそれかよ と俺は辟易した。
とはいえ小学三年生が言ったとは思えないほど上から目線の人生観とは思うが当時の俺もなかなか生意気なくそガキだったためあいつの行ってる意味をなんとなく理解した。
「お前はわざわざ自分から悪い方向に行く癖があるからな。私はお前のことが心配でたまらん。」
「お前は俺の親か。」
「なに言ってんだ、親だろうが。」
「いつ俺はお前から生まれたんだ!?」
「何言ってんだ。育て親に決まってるだろうが。」
そんな会話をしてふと気付く。こんな風に会話するのも今日が最後なんだと。
そう思った途端急に涙が込み上げてきて、でもこんなところで泣いたら寂しがってると思われそんな恥ずかしい思いはしたくなかったので結局俺はその後涙こそ流さなかったが涙目だった。
そんな俺の顔を見て「ばればれなんだよ」とあいつは笑った。
「今生の別れじゃないんだ。また会えるさ、互いに会おうとさえすればな。」
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