Title.1

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でもそれはありえないことなんだと俺は思った。 今は別れてすぐで互いのことを思い続けるが、俺は新しい環境で新しい人間関係を築かなければならないし、あいつは今までの自分の環境の中から俺を取り除くだけである。 仮に会おうとしてもそんなすぐに行けるような距離ではなくなっているはずだ。会えたとしてもそれは一ヶ月や一年ぶりの再会とかそういう大きな時間を空けたものだろう。 そしてその長い月日がいつしか俺達の記憶を“思い出”に変えてしまう。『そういえば昔そんな友達がいたな』と過去のことになってしまう。 それが当然なんだろうし、しかもそうなったとしても互いにそこまでの悲しさは生まれない。 だからこそ俺は今がとても悲しい。この別れが涙を堪えようと思って“堪えられるような”寂しさなのだと思うと自分がとても悲しい。
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