Title.1

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それから七年後、高校一年。 子供の時に引っ越し、親の仕事が一段落し俺は生まれ故郷に帰ってきた。 正直なところ俺はここに帰ってくることはもうないと思っていた。というのも引っ越し先に一軒家を建ててしまったからだ。しかし、新しい赴任先がここからだと面倒な為昔住んでいた家へと帰ってきたのだ。都合よく昔の家が空き家だったのも大きいだろう。 懐かしい家の匂い。荷物を載せた引っ越し業者のトラックを待つ間俺は玄関先で家を眺めていた。 ここが昔俺が住んでいた家。体が大きくなっても流石にこの家を“小さく感じる”なんてことはなく、でかい家は相変わらずでかいままだ。 両親は家の中で昔を懐かしんでいる。まだ家具もなにもない状況から昔を思い出せるのは流石だと思う。 俺はこの家で起こった忘れられないことと言えばひとつだけかもしれない。 「キスをしてもらったとか、そんなとこかな?」
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